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3万円高くても「タブレットにもなるノートPC」を買うべきなのか?
記事提供:TechTargetジャパン

 米Dellや米Microsoft、台湾ASUSTeK Computerなどが最近相次いで発表した「2-in-1デバイス」(タブレットとしてもノートPCとしても利用可能なデバイス)の新機種は、ITプロフェショナルたちを引きつけてやまない。だが果たして彼らは、そうしたハイブリッド型タブレットの導入に踏み切るべきか。それとも伝統的なコンピュータをエンドユーザーに押し付けたままにしておくべきか。

 モバイルワーカーが持ち運ぶデバイス数を減らすために、タブレットへと形態を変えた高機能ノートPC。その利便性は誰も否定できない。業界観測筋の中には、2-in-1デバイスをノートPCの次の進化形だと位置付ける向きもある。

 「2-in-1デバイスは、ある人にとってはクライアントPCであり、他の人にとってはタブレットだ」と語るのは、米ITコンサルティング会社、J.Gold Associatesの創立者で主席アナリストのジャック・ゴールド氏である。同氏によると、2-in-1デバイスは一般的にWindowsアプリケーションが動作し、クライアントPCをリプレースできるIAベースの完全なデバイスだと考えられているという。

 こうした2-in-1デバイスは、長い道のりを歩んでハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク機能を改良し、クラウドの普及とともに次世代ノートPCとして結実した。

 ノートPCとタブレットの境界は曖昧だ。ITプロフェショナルは、どのフォームファクタを選択すべきか、困難な決断を下さなければならない。

 米カリフォルニア州ロサンゼルス郡は先ごろ、10万人のエンドユーザー向けに行政機関向け「Office 365」である「Office 365 Government」を導入した。同郡の職員は現在、Dell、米Hewlett-Packard(HP)、中国Lenovoなどのコンピュータを組み合わせて利用している。

 「ここではまだ“2-in-1”はリングに上がっていない」と、同郡最高情報責任者(CIO)のリチャード・サンチェス氏は話す。「われわれはユーザーが手にする機器の種類に関して独裁者になりたいとは思わない」(同氏)。ただし、「2-in-1デバイスはモバイルワーカーのパワフルなツールになる可能性がある」と同氏は付け加える。

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ノートPC vs. 2-in-1デバイス

2-in-1デバイスには、先ごろ発売されたMicrosoftの「Surface Pro 3」などがある。米Appleの「MacBook Air」のような超薄型ノートPCより少し重いが、2ポンド(約900g)以下の重量の機種が多い。一般に可搬性と価格はトレードオフの関係にあるものの、それでも多くの企業は2-in-1デバイスと従来型ノートPCのコスト比較に関心を示す。

例えば、Dellの2-in-1型「XPS 12 Ultrabook」は、回転式タッチディスプレーや「Intel Core i5 Processor」を搭載した128Gバイトモデルが、オンライン価格で1318.99ドル。それに対して、Lenovoの超薄型ノートPC「ThinkPad X240」は、Intel Core i5 Processor搭載、500Gバイトモデルが同999ドル。両者の価格差は約320ドルだ(いずれも執筆時点での米国価格)。

従来のノートPCは、例えば1Tバイトの大容量HDDや光学ドライブ、追加メモリ、ハイエンドCPU、グラフィックプロセッサなどを搭載できる。だが2-in-1デバイスは構成が限られる。超軽量と長時間のバッテリー駆動が要求されるからだ。

2-in-1デバイスの買いどきは?

全社レベルで2-in-1デバイスへ移行するかどうかは、業務の内容次第だ。

米ヘルスケアコンサルティング会社のBeacon Partnersは、現行の環境に2-in-1デバイスをどう組み込むか現在検討中だ。

同社のIT上級マネジャー、ゲーリー・ゲイツ氏によると、最終的な目標はセールス担当のノートPCを全て2-in-1デバイスに切り替えることだという。ただし、コンサルタントたちは今後も従来型のノートPCを使い続ける。特定のアプリケーションや、一定レベルのコンピューティングパワーが要求されるからだ。例えば、コンサルタントの中には、仕事を進める上で、より大きな馬力、巨大なハードドライブを必要とするものもいる。

Beacon PartnersではSurface Pro 3も視野に入れているが、ゲイツ氏は「複数のVPNを利用する場合、2-in-1デバイスがどの程度有効に機能するか、もう少しテストする必要がある」と考えている。

同社以外にも、MicrosoftのSurface Pro 3を検討する企業は増えており、このクラスのデバイスへの期待は高まっている。

「最近はヘルスケアと建設業界において、そうした傾向が顕著に見られる」と話すのは、米ITソリューションプロバイダー、En Pointe Technologiesのブランド開発マネジャーであるアンドリュー・ヒュン氏だ。従来クライアントPCを必要としていたアプリケーションも、今やエンドユーザーが持ち歩けるタブレットなどのデバイスへ移行しつつあるという。

2-in-1デバイスの限界

ノートPCをタブレットに作り変えるというアイデアは魅力的だが、必ずしも全てのクライアントPC用アプリケーションがタブレットモードへスムーズに移行できるわけではない。エンドユーザー側で、ある程度修正を加えなければならないケースもある。

「たとえデバイスを手に入れたとしても、クライアントPCモードで利用してきたソフトウェアが、タブレットモードで期待通りに動くとは限らない」とヒュン氏は指摘する。

公共交通機関を利用するユーザーには、ノートPCとしてもタブレットとしても利用できる柔軟性のある2-in-1デバイスは十分意味がある。だがオフィスの中で働き、ほとんど外出しないユーザーには、純粋なノートPCの方が使いやすいだろうとヒュン氏は考えている。

また、仕事で利用するアプリケーションの種類も、2-in-1デバイスが適当かどうかを判断するときの検討事項になる。

「もし従業員が使っているのが、クライアントPCのコンピューティングパワーをそれほど必要としない“ライト”(軽量)なアプリケーションなら、2-in-1デバイスにお金を掛けるよりタブレットを利用した方がよい」とヒョン氏はアドバイスする。

結局、最終的な判断は、エンドユーザーのニーズ次第ということになる。

「根本的な問題は、その組織におけるモビリティの定義だ」と語るのは、米テキサス州リーグシティ、クリアクリーク独立学区で最高技術責任者(CTO)を務めるケビン・シュワルツ氏である。

同氏の学区は、タブレットに決定するまでにさまざまな選択肢を検討した。というのも、生徒たちはデバイスを写真やアート、ビデオなど、さまざまなコンテンツに利用するからだ。そうした目的では、ノートPCに付属する大きなキーボードは必要なかった。

「要するに、エンドユーザーは何のために利用するのか、という点だ」とヒュン氏は語る。2-in-1デバイスは、より多くのオプションと利便性をユーザーにもたらす。だが「コストの差を正当化できる理由がなければならないだろう」と同氏は指摘する。


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