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医療IT記事 「エボラ出血熱」拡大阻止の現場、災害医療モバイルアプリはどう活躍したか?
ひと目で分かるUIと、安全なデータ共有

エボラ出血熱の大流行に対する国際対応において、ある非営利団体は地域医療従事者が調査対象からデータを収集するためのモバイルアプリを活用した。

記事

2014年に西アフリカでエボラ出血熱が大流行したとき、世界中の団体が多数の医療従事

者を派遣し、現地の医療関係者やボランティアを支援した。以来2年間、そうした団体の

多くは災害対応におけるモバイル医療技術の有用性を実感している。

災害医療において、患者からの情報収集と分析、共有、対策は重要な作業だ。米国の非

営利団体Partners in Health(PIH)は現地で活動し、医療関係者の訓練、患者のケア、患者

と家族を対象とした調査を行ってきた。

2015年6月、PIHは、シエラレオネのコノ地区で医療従事者として働く同団体従業員、パ

ートナー、地域住民向けにエボラ出血熱スクリーニング用アプリの提供を開始した。彼ら

は患者の症状と治療情報に関するデータの入力と収集に、PIHから支給されたスマートフ

ォンと、このアプリを使った。

PIHの地理情報システムおよびモバイル医療スペシャリストのエルミヤス・ビル氏は

、「Mobile Monday Boston」というイベントのパネルディスカッションに参加し、貧しい

地域や災害状況においてはモバイル医療技術の導入を難しくする要因があると話した。地

理的条件や天候、電力供給不足が原因で、地域医療従事者が患者のところまで行けなかっ

たり、モバイルデバイスを使えないことがあるという。その上、エボラ出血熱の大流行へ

の対応は急を要した。

「反復型開発の手法でアプリを開発している余裕はない」とソフトウェアプロバイダ

ーDimagiのCEO、ジョナサン・ジャクソン氏は述べた。Dimagiは、PIHがエボラ出血熱ス

クリーニング用アプリの開発に使った「CommCare」という開発環境の提供元だ。

PIHはこのモバイルアプリを使う医療従事者に1日だけトレーニングを実施し、すぐに患

者のところで実際に使ってもらった。

「私たちの活動地域ではリソースが限られており、緊急対応のために早急に実用化する

必要があった」(ビル氏)

Dimagiのソフトウェアはオープンソースで、シンプルなユーザーインタフェース(UI)

開発オプションがあり、誰でも簡単にアプリを作ることができたため、「短期間での実用

化が可能だった」とビル氏はいう。さらにCommCareのアプリがオフラインで動作するこ

とも、西アフリカのエボラ流行地域のようにインターネット接続が限られる環境では重要

だった。

読み書きが十分にできない患者や現地の医療従事者も、このアプリを使うことで簡単に

意思疎通ができ、正確なデータを収集できた。文字で書かれた質問を理解できない患者で

も、アプリの大きなアイコンや画像、音声、分かりやすい言葉によって質問を理解し、そ

れに答えることができた。

「必要な情報を100%収集することができた」(ビル氏)

●データ分析と共有

PIHでは、このアプリで収集したデータを分析して共有することも必要だった。そこで

、CommCareと統合可能なビジネスインテリジェンス・分析用ソフトウェアの

「Tableau」を利用した。これを使うと、簡単にグラフを作成したり、その他の方法でデ

ータポイントを結合したりして評価することができる。

また、国連や世界保健機関(WHO)、各国政府が感染率と治癒率に関する十分なデータ

を相互共有するために、そして報道機関と共有するために、データの集約は不可欠だった

。このプロセスは、医療危機に対する世界の認識と対応に大きな影響を及ぼしかねず、細

心の注意を要する。

CommCareはデータをクラウドに保存するので、他の組織と共有しやすい。「モバイル

医療技術を採用する以前は、紙の書類で集められた患者スクリーニングのデータのうち、

シエラレオネ健康省に報告するためにデジタル化されたのはわずか17%だった」とビル氏

は話した。

●セキュリティ

Dimagiのジャクソン氏は、医療データを扱う組織にとってはセキュリティも重要な要素

だという。CommCareはHIPAA(米国における医療保険の相互運用性と説明責任に関する

法令)に準拠しており、2要素認証を採用し、保存データと移動データを全て暗号化する

。モバイルデバイス内のアプリケーションデータはアプリレベルのログインで保護してい

る。

モバイルアプリでセキュリティと使いやすさのバランスを保つことができれば、災害医

療において非常に有用だ。ビル氏は、こうしたモバイル機能によるコミュニケーションは

最終的に、誰よりも地域住民のために役立つという。調査を受ける対象者にとって、ペン

と紙を持った医療従事者からいろいろ聞かれるよりモバイルアプリで回答する方が楽だ。

それに、携帯電話はこのような地域でも普及しており、彼らにとって身近な機器なのであ

る。

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